■ ながせ心理相談室へよく頂くご質問
Q.精神的な悩みって、話して治るんですか?
いい質問です。多くの人が持つ疑問ですね。
例えば、いじめを受けている子どもに相談を受けたら…?
ちょっとややこしい話になりますけど、 お付き合い下さい。例えば子供が学校でいじめられていると母親に相談します。 次の日からいじめが解決するでしょうか。 残念ですがいじめは解決しませんね。すぐには解決しないため、 他人に話しても役にたたない、結局頼れるのは自分自身しかいないと思う人もいるでしょう。母親に相談したことで、お母さんはあわてふためき、 学校の先生に電話したり、相手の母親に直接電話するなどして、いじめが解決するどころかなんだかオーバーな話になってしまうこともあります。
この場では「話して変化する方」の話を。
お母さんはよく話を聴いてくれた上に大好きなアイスクリームまで買ってくれた。子供はどうなります?元気が出ますよね。 ひょっとしたら次の日、いじめている相手に反撃をするかもしれません。子供自ら担任の先生に 訴えるかもしれません。話をすることで何が起こったのでしょう?毎日いじめられていると、 まず自信をなくしてしまいます。自分は情けない奴だ、いじめられて当然だといった気持ちです。 こんな気持ちを抱いていてはとてもいじめられている相手に反撃などできませんね。母親に大切にされたことで自信を回復し、いじめられていることに圧倒されないで 自分自身で対応する力をつけたのでしょう。
大切なことは、自分自身が変化する「きっかけ作り」
実際、いじめの問題はこんなに簡単に解決するわけではありません。話すことで直接的な解決には結びつかなくても、その子自身が変わるきっかけをつかんだ比喩として使わせてもらいました。精神的な悩みはどうでしょう。自分一人で抱えているだけではいじめと同じように変化が生じてきません。ただ、話しただけではやはり変化しません。結局のところ「話すことで治るのですか?」という疑問に戻ってしまいました。人に向かって話すことで自分自身が変化するきっかけをつかむと言い換えた方がいいかもしれませんね。
Q.話を聴いてくれる人なら誰でもいいのですか?資格はあるのですか?
話し合いは日常でよく行われることですし、身近に話ができる人がいることはとても幸せなことです。ただ、悩みを抱え、何とかしたいと考えている人に対しては「二つの問題」が存在します。
一つ目の問題…「見立ての問題」
一つは見立ての問題です。今抱えている問題が話しているだけで解決するのかどうかをまず「見立て」なければなりません。“眠れないし、やる気が出てこない”と訴える人がいます。こころに問題を抱えていてカウンセリングだけで大丈夫なのか、精神科医の援助が必要なのか考えなければなりません。薬を飲んで眠れるようになると気持ちが安定し楽になる場合もありますから。カウンセリングをしないでしばらく見守っていた方がいい場合だってあります。
二つ目の問題…「専門家の必要性」
もう一つは専門家の必要性。人の話を聴いていると何か言いたくなることがありませんか?特に自分自身が同じような問題を抱え解決してきたらなおさらですよね。目の前にいる人が何かを語り始めた時、何の判断もなく、価値観の押しつけもなく、その人が語るまま、そのままうなずくことはなかなか大変なことです。それをするためには長い長いトレーニングと日々の研修が必要な行為だと思っています。簡単にいうと、資格の問題です。「人の話を聴くどういう資格があるのか」といった複雑な話題ではなく国家資格かどうかといった話をします。臨床心理士は国家資格ではなく、私は、財団法人日本臨床心理士資格認定協会が認定する臨床心理士の資格を有しています。臨床心理士の国家資格化の動きは私がこの世界に入る前、昭和40年代から議論されており、平成に入ってもその議論は収束することなく今も継続中です。本当は国が認定し臨床心理士の資格を保証すると、相談しようと思った時の一つの目安になりますが・・・残念な状況が続いています。日本臨床心理士会の ホームページ もあり、臨床心理士の歴史、活動、理念など紹介されていますので、臨床心理士についてお確かめください。
(心理士をめぐる状況に変化がありました。心理士の国家資格として、公認心理師の法案が成立し、平成30年に第一回の試験が実施され、公認心理師が誕生する予定です。)
Q.カウンセリングって何をするのですか?
悩みを抱えて来室した人は悩みから一日でも早く解放されたいと思っていますから、何かいいアドバイスをもらいそれを実行すれば解決すると考えたくなりますよね。
例えば、上司との人間関係の悩み
また例を挙げて考えてみましょう。「あの上司の言うことなんてそんなに気にしなくてもいいんじゃない」と言われれば実際にそうなんだけど、その上司の前に行くと小さくなって緊張してしまう。「そんなこと言ってないでまず、反論してみたら」「君が思っているよりずーと優しいかもしれないよ」と言われてしまえば何も言い返せません。ここでのカウンセリングは、まず解決法を提示するより前に、その人が緊張してしまう状況を十分語ってもらうことから始めます。受験の時に「傾向と対策」という本がありましたね。どうしても悩みを抱えていると「対策」に気を取られてしまうものです。が、今何が起きているのかに注意を向け「傾向」について考えた方が解決に向って確実に歩み始めていると思います。傾向もわからないで対策を練るなんてやはり無謀ではないでしょうか。
Q.どのくらいの回数が必要なのですか?
これは様々としか言いようがないのです。週に一回通われる人から、その時々に応じて電話で予約される人もいます。私の正直な気持ちを言えば、週に一回通ってもらえるのがこころの問題を考えていくにはいいペースと思っています。少なくとも月に2回は相談室の椅子にすわり、いつもはほとんど無視しているこころの動きに注意を向け、こころの声に耳を傾けてほしいと思っています。が、それほどのことはないけど、何か気になるという人も当然います。そうであれば、月に一回、半年に一回という形になるかもしれません。あなた自身のお気持ちをまずお話し下さい。
もう一つは、期間の問題ですね。3か月、週に一回18回通ってもらえれば解決する。あるいは、月に二回、1年24回で大丈夫でしょうとある日にちを示すことができればもっと気楽に予約ができるかもしれませんね。やはりゴールが示されると頑張れますから。満足のいく答えを示すことができないのです。その人の抱えている問題の大きさ、その人の健康度、サポートする家族や仕事の環境、その人自身の価値観、求めている内容などによって、大きく期間が変わってくるように思っています。
Q.保険は使えますか?
カウンセリングは医療ではありませんので保険は使えません。
但し、医療が必要な場合は信頼できる精神科医をご紹介します。